役員就任期間の要件(事業承継税制)が緩和される見通しです。
政府の「新しい資本主義実現会議」が取りまとめる実行計画改定案のとりまとめが6月7日に行われました。
この中で、役員就任期間要件について緩和を検討する方針となりました。
事業承継税制の要件緩和⁉役員就任期間が短縮される見込みに
現行の特例承継の要件は役員就任3年経過
現行制度上、特例承継の適用を受ける場合には役員就任期間の要件があります。
この期間が「贈与の直前に3年間役員」という要件です。
2024年6月18日に贈与をした場合で考えてみましょう。
このケースでは、3年前の2021年6月17日時点で既に役員になっている必要があります。
この時点で役員でなければ特例を受けることができないということです。
現行は役員3年経過要件が特例承継を受ける上でかなりネック
特例承継の適用は、贈与の場合2027年(令和9年)12月31日までの贈与が対象です。ります
ただし、先述の通り「贈与の直前に3年間役員」という要件があります。
このため今年(2024年)中に後継者候補を役員にしていなければ、この要件を満たすことができないわけです。
そしてこの特例承継を受けるための特例承継計画の提出期限は2026年(令和8年)3月31日。
計画の提出期限に役員に就任すると2027年12月末まで3年ありません。
これでは特例承継を受けることができないということになってしまいます。
このように、特例承継計画の提出期限付近に「役員」となって「後継者候補」になると、「贈与の直前に3年間役員」要件を満たしません。これは困ります。
とりあえず役員にしちゃえは現実的には難しいケースもある
もし現在役員ではない方を後継者候補として特例を受ける場合には、とりあえず年内に役員にする必要があります。
だからと言って「とりあえず役員にしちゃえ」が出来ないケースだって、現実的にはあります。
- 本人との話がついていない
- 社内での調整が不十分
といった理由などで、年内にすっと役員にできるかは会社によります。
社内方針がまとまらずに、制度に間に合わせるために強引に役員にしてしまえ!
こんなことをすると「税金は猶予されてよかったけれど、社内はガタガタ」
なんてことになりかねなかったわけです。
「新しい資本主義実現会議」実行計画で役員就任期間の短縮を検討
ここまでお話してきた通り、
現行制度では、3年という就任期間の要件があります。
そしてこの要件を満たすために、後継者候補は「2024年末」までには役員就任しなければなりませんでした。
この問題を解決するために、
今回の会議にて、後継者の役員就任期限を25年以降に延長する方向で検討を進めているようです。
これはイコールで「3年要件を短縮する」ということです。
もちろんどこまで短縮されるかは、現時点では不明です。
いずれにせよ短縮の方向に向かいそうなので、後継者が役員でない場合には少し余裕ができるかもしれません。
事業承継税制の特例承継を使うなら?
それでも後継者候補の決定は早めに進めましょう
確かに役員就任3年という要件が緩和されれば、2024年以降でもとなります。
しかし、2027年(令和9年)末までに贈与を実行することを考えれば、
だれを後継者にするのか?を早めに検討し、可能であれば早めに役員に就任させることが大切です。
特例承継では、3人まで後継者候補を申請することが可能です。
期限が延長されても、決められるものは早め早めに決めて事を進めていくことが大切です。