令和7年分の確定申告の時期がやってきました。
「毎年のことだから大丈夫」と思っている方も多いかもしれませんが、実は令和7年分は税制改正による大きな変更点がいくつかあります。
申告が遅れたり、納税が納付期日を過ぎたりすると、「加算税・延滞税」がかかってしまうので注意が必要です!
所得税と消費税で申告期限と納付期限が異なりますので、ここでしっかり確認しておきましょう。
所得税の申告期限と納付期限
申告期間:令和8年2月16日(月)~3月16日(月)
納付期限:令和8年3月16日(月)
※3月15日が日曜日のため、翌営業日の3月16日が期限です。
消費税の申告期限と納付期限
申告期限:令和8年3月31日(火)
納付期限:令和8年3月31日(火)
贈与税の申告期限と納付期限
申告期間:令和8年2月2日(月)~3月16日(月)
納付期限:令和8年3月16日(月)
【要チェック】令和7年分の主な税制改正ポイント
令和7年分(2025年分)の確定申告では、「いつもと同じでしょ?」という感覚でいると損をする可能性があります。
令和7年度の税制改正で大きな変更がありましたので、ポイントを押さえておきましょう。
変更点1.基礎控除が最大95万円に引き上げ
これまで一律48万円だった基礎控除額が、所得金額に応じて段階的に引き上げられました。
たとえば話題になった「103万円の壁」。これまでは給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円でしたが、今回の改正で、合計所得金額が132万円以下の方は基礎控除が95万円に引き上げられています。
つまり、給与所得控除65万円+基礎控除95万円=160万円までは所得税がかからない計算になります。
ただし注意点が2つあります。
①住民税の基礎控除は変わっていません。 所得税と住民税は別の計算ですので、住民税は別途かかる可能性があります。
②社会保険の「130万円の壁」も変わっていません。 税金が非課税でも、社会保険の扶養から外れるラインは従来のままです。このあたりは混同しやすいので、しっかり区別しておきましょう。
なお、合計所得金額に応じた基礎控除額は以下のとおりです。
| 合計所得金額 | 改正後の基礎控除額 | 改正前 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 48万円 | ー |
| 132万円超~336万円以下 | 88万円 | 48万円 | 令和7・8年分限定 |
| 336万円超~489万円以下 | 68万円 | 48万円 | 令和7・8年分限定 |
| 489万円超~655万円以下 | 63万円 | 48万円 | 令和7・8年分限定 |
| 655万円超~2,350万円以下 | 58万円 | 48万円 | ー |
| 2,350万円超 | 48万円~0円 | 48万円~0円 | 変更なし |
令和9年分以降は、所得132万円以下は95万円のまま据え置きですが、それ以外は一律58万円になる予定です。つまり令和7年分・8年分は特にお得な2年間ということになります。
なお、令和8年度税制改正大綱で基礎控除が再度改正される見込みのため、今後の動向に注意が必要です。
変更点2.給与所得控除の最低保障額が引き上げ
給与所得控除の最低保障額が、これまでの55万円から65万円に引き上げられました。
これにより、給与収入190万円以下の方は一律65万円の控除を受けられます。
会社員やパート・アルバイトの方にとっては、手取りが増える方向の改正です。経営者としては、従業員への周知も必要になってくるポイントですね。
変更点3.扶養控除等の所得要件が緩和
配偶者控除や扶養控除の対象となるための所得要件が、合計所得金額48万円以下から58万円以下に引き上げられました。
給与収入ベースでいうと、103万円以下から123万円以下に拡大ということです。
これにより、配偶者や扶養親族の方がこれまでの103万円を少し超えて働いていたとしても、123万円以下であれば引き続き扶養控除や配偶者控除の対象になります。
変更点4.特定親族特別控除の新設
大学生年代のお子さん(19歳以上23歳未満)がいるご家庭に朗報です。
これまでは、お子さんのアルバイト収入が103万円(改正後は123万円)を超えると、親の扶養から外れて一気に税負担が跳ね上がるという問題がありました。
令和7年分から新設された**「特定親族特別控除」**により、お子さんの合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入123万円超188万円以下)であっても、段階的に控除を受けられるようになりました。
お子さんの合計所得金額が85万円以下(給与収入150万円以下)であれば、最大63万円の控除が受けられます。
所得税と消費税は納付期日を約1カ月遅らせられる「振替納税」が便利
所得税・消費税については、振替納税という制度があります。
個人事業主であれば、必須と言えるほど便利でオトクな制度なので、まだ手続きをしていない方は絶対にやっておいてください。
振替納税の3つのメリット
メリット1.支払を約1ヶ月遅らせられる
振替納税をすることで、本来の納期限(法定納期限)より1ヶ月程度支払いを遅らせることができます。
資金繰りの観点でも「支払いは遅く」という鉄則を守ることにもつながります。
たとえるなら、クレジットカードの支払いのようなイメージ。使った時点ではなく、翌月に引き落とされることで手元にお金が残る期間が長くなりますよね。それと同じ効果を、税金の支払いでも得られるわけです。
メリット2.自分で納付に行かずに済む(時短)
納付書による納付の場合、金融機関等へ行き、納付する必要があります。
最近は窓口の予約が必要だったり、支店の統廃合で混雑していたりと、金融機関での納付も結構手間がかかります。
自動引き落としなら、わざわざ足を運ぶ必要がないので、その分の時間を本業に使えます。
メリット3.納付忘れのリスクが下がる
確定申告は税理士に頼めても、税金の納付は自分でしなければなりません。
「うっかり忘れてしまった」が通用しないのが税金の世界です。
自動振替であれば引き落としが自動で行われるので、納付忘れを防ぐことができます。
一度手続きしてしまえば、対象の税目は次回以降も口座振替になるので安心です。
振替納税を積極的に活用するのがお得!
まとめると、振替納税には次の3つのメリットがあります。
・納付を1カ月遅らせることができる ・自分で納付に行かなくても良い ・納付忘れのリスクが下がる
この3つのメリットがあるだけでもお得ですので、積極的に活用していきましょう!
振替納税の設定方法
振替納税したい税金の納付期限までに、「預金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を一度提出しておくだけで手続きができます。税目ごとに手続きは必要ですが、一度手続きをしておけば、同一税目の次回以降の納付も口座振替になります。
注意点:転居した場合には、新しい住所の所轄税務署に上記書類を提出する必要があります。
参考:国税庁HP「[手続名] 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付」(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24100020.htm)
令和7年分申告の振替日
| 納付等の区分 | 振替日 | 本来の納期 |
|---|---|---|
| 所得税及び復興特別所得税の確定申告 | 令和8年4月23日(木) | 令和8年3月16日(月) |
| 消費税及び地方消費税の確定申告 | 令和8年4月30日(木) | 令和8年3月31日(火) |
国税庁HP:主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24200042/noufu_kigen.htm)
個人事業主はオンラインで手続き可能
紙を出すのが面倒な人は、e-Taxの利用でオンラインによる手続きが可能です。
スマートフォン又はパソコンから、e-Tax(SP版・WEB版)にログインし、入力画面に沿って必要事項を入力して、振替依頼書を送信するという手順です。
なお、令和7年分のe-Taxによる申告データの送信は、令和8年1月5日(月)から可能です。早めに提出したい方はe-Taxの活用がおすすめです。
振替納税の注意点
注意点1.残高不足だと延滞税がかかる
振替納税を選択した場合、振替日に残高不足であると引き落としがされずに延滞税が掛かってしまいます。
振替実施日の口座残高には十分注意が必要です!
残高不足などの理由により、口座振替ができなかった場合は、所轄税務署に問い合わせてください。
注意点2.税金の種類や年度によって振替日が異なる
振替日は税金の種類(所得税・消費税)によって異なります。
また、その年によっても振替実行日が変わるので事前の確認が必要です。
「去年はこの日に落ちたから大丈夫!」とお金を引き上げてしまう、もしくは入金を忘れてしまって残高不足に…ということには十分気を付けましょう。
※今年度分の振替日は前述の通りです。
注意点3.引っ越した場合は再手続きが必要
現在の住所によって所轄税務署が決まっているので、引っ越しした場合には注意が必要です。
所轄税務署が変更になった場合には、新しい所轄税務署に改めて「預金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出しないと振替納税が利用できません。
振替納税のつもりでいたのに、新しい所轄税務署への申請忘れで納税ができていないと、延滞税が発生してしまった…こんなケースもよくあります。
【令和8年分に向けて】今からできる個人事業主の節税対策
ここからは令和8年分の確定申告に向けて、個人事業主の方が今のうちに準備しておきたい節税対策をサクッとまとめます。
「節税は年末に慌ててやるもの」と思っている方もいるかもしれませんが、**年の初めに動くほど選択肢が広がります。**思い立ったときがベストタイミングです。
対策1.青色申告承認申請書を出す(まだの方は必須!)
青色申告をすることで、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。
白色申告のまま確定申告をしている方は、それだけで年間数万円~十数万円の節税チャンスを逃している可能性があります。
令和8年分から青色申告を適用したい場合は、令和8年3月16日(月)までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。令和7年分の確定申告と一緒に提出してしまうのが効率的です。
なお、令和8年の1月16日以降に新規で事業を開始した場合は、事業開始日から2カ月以内の提出でOKです。
当事務所では、マネーフォワードを利用してお客様の手間を極力かけない方法で青色申告特別控除をMAXで取れるようにしております。
対策2.小規模企業共済に加入する
小規模企業共済は、個人事業主の退職金制度のようなものです。
掛金は全額が所得控除の対象になるため、節税効果が高い制度です。
月額1,000円~70,000円まで設定でき、年間最大84万円を所得から差し引くことができます。早めに加入しておけば、年末までの掛金が今年分の控除対象になります。
民間の保険に加入するよりも、まずはこちらへの加入をお勧めしています。
対策3.iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
iDeCoも掛金が全額所得控除になります。
個人事業主(第1号被保険者)の場合、月額最大68,000円(年間81.6万円)まで掛けることができます。
老後の資産形成と節税を同時にできる、一石二鳥の制度です。
対策4.経営セーフティ共済(倒産防止共済)を検討する
取引先の倒産に備える共済制度ですが、掛金を必要経費に算入できるというメリットがあります。
月額5,000円~200,000円、年間最大240万円まで掛けることが可能です。
ただし、解約手当金は収入に計上されますので、出口戦略(法人化のタイミングなど)を含めて検討する必要があります。
※令和6年10月以降の加入分については、解約後2年間は再加入しても掛金の損金算入が不可となる改正がありましたので注意しましょう。
対策5.ふるさと納税を計画的に
ふるさと納税は厳密には「節税」ではなく「税金の前払い+返礼品がもらえる制度」ですが、実質的な負担は2,000円で返礼品を受け取れるお得な制度です。
年末に駆け込みで行う方が多いですが、年間を通じて計画的に行うと、返礼品の選択肢も広がりますし、限度額を超えてしまうリスクも減ります。
対策6.経費の領収書・レシートを正しく保管する
当たり前のことですが、意外とできていない方が多いのがこれです。
事業に関係する支出の領収書やレシートは、もれなく・すぐに記録・保管しておきましょう。
電子帳簿保存法の改正により、電子取引のデータ保存が義務化されています。メールやネットで受け取った請求書・領収書はデータのまま保存することが求められていますので、紙に印刷するだけでは不十分な場合があります。
対策7.月次の記帳を習慣にする
年末にまとめて帳簿をつけようとすると、記憶があいまいになったり、領収書が見つからなかったりして大変です。
月次で記帳をしておくことで、年間の利益が見通せるようになり、年末の節税対策も的確に打てるようになります。
「記帳が苦手」「そんな時間がない」という方は、税理士に記帳代行を依頼するのも一つの方法です。月々のコストはかかりますが、本業に集中できるメリットは大きいはずです。
なお、税理士による記帳代行費用なども経費にすることが可能です。
まとめ
申告・納税期限
令和7年分の所得税・贈与税の確定申告・納税の期限は、3月16日(月)。消費税は3月31日(火)。
今年の大きな変更点
基礎控除が最大95万円に引き上げ、給与所得控除も65万円に拡大。扶養控除等の所得要件も緩和され、新たに特定親族特別控除が創設。
お得な納税制度:振替納税
振替納税で納付を1ヶ月程度後ろ倒し可能。手続きはe-Taxで簡単にできる。ただし、残高不足や振替日には注意が必要。
令和8年分に向けた節税対策
青色申告の申請、小規模企業共済、iDeCo、経営セーフティ共済、ふるさと納税の計画的活用、経費の正しい保管、月次記帳の習慣化を今から始めましょう。
忘れずに申告・納税しましょう!


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