突然ですが、皆さんは「税理士を変える」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
「届出とか手続きが面倒くさそう」「引き継ぎが大変そう」「今の先生に何て言えばいいんだろう」——そんな漠然とした不安から、「まあ、今のままでいいか」と先延ばしにしている方も多いのではないでしょうか。
でも実は、税理士変更って思っているほど大変じゃないんです。
実際に税理士を変更された経営者の多くは、「思っていたより、ずっと簡単だった」とおっしゃいます。
税理士変更で当事務所とご契約いただいた顧問先様の「意外と大変じゃなかった」という声を基に当記事を執筆しています。
今回は、税理士変更の具体的な手順を、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。読み終わる頃には、「なんだ、そんなものか」と思っていただけるはずです。
税理士変更で「やること」は、実は3つだけ
税理士を変えるときにやるべきことは、突き詰めると以下の3つに集約されます。
①新しい税理士を決める ②今の税理士に伝える ③資料を引き継ぐ
たったこれだけです。
「え、届出とか申請とか、いらないの?」と思われるかもしれません。結論から言えば、あなた自身が税務署に届け出る必要はありません。経営者の皆さまが何か手続きをする必要はないんです。
税理士変更は「引っ越し」ような大がかりな作業ではなく、「美容院を変える」くらいの感覚に近いかもしれません。もちろん、長くお付き合いのあった先生との関係を考えると心理的なハードルはありますが、手続き面でのハードルは実はそれほど高くないんです。
それでは、3つのステップをひとつずつ見ていきましょう。
ステップ1:新しい税理士を決める
そもそも税理士変更をしたい理由は様々です。
- 何となく性格が合わない
- 先代からの付き合いがあるが歳の差がある
- 担当者が変わってやり取りがスムーズじゃなくなった
など、その人によって理由に違いはあります。
税理士変更は、まず「次」を決めてから動く
税理士変更で最も大切なのは、「今の税理士に伝える前に、次の税理士を決めておく」ということです。
これは当たり前のようでいて、意外と見落としがちなポイントです。次の税理士の予定が立ち、ある程度引継ぎ可能な時期を次の税理士と打合せを進めてから、今の税理士に「辞めます」と伝えるのがベターです。
ここを固めずに勢いで変更すると、次が決まるまでの間、宙ぶらりんの状態になってしまいます。決算期が近い場合などは特に、空白期間ができると困ることになりかねません。
まずは次の税理士を決める。そこからすべてが始まります。
今はインターネットで検索する方法や、法人会や経営者コミュニティに顔を出し、そこに来ている税理士と関係を築くのも一つの方法です。
何を基準に選べばいいのか
「良い税理士」の定義は、会社によって異なります。ただ、税理士を変更しようと考えている方に共通しているのは、「今の税理士に何らかの物足りなさを感じている」ということではないでしょうか。
その「物足りなさ」が何なのかを、まず言語化してみてください。
- 連絡が遅い、レスポンスが悪い
- 決算の時しか連絡がこない
- 質問しても専門用語ばかりでよくわからない
- あまり相談に乗ってくれない
- 単純に、相性が合わない気がする
- 世代が違いすぎて価値観が合わない
このように今の不満を明確にすることで、次の税理士に求める条件が見えてきます。
「今の先生に不満があるわけじゃないけど、なんとなくモヤモヤする」という方も多いと思います。そういう場合は、「こういうサポートがあったらいいな」という理想像を考えてみるのもひとつの方法です。
「税理士変更」の比較検討は2〜3事務所で十分
税理士を探すとなると、「たくさん比較しなければ」と思われるかもしれません。しかし、実際には2〜3事務所に絞って話を聞けば、十分に判断できることがほとんどです。
むしろ、あまりに多くの事務所を回ると、「どこも同じように見えてきた」「結局どこがいいかわからなくなった」という状態に陥りがちです。
最初から「3事務所に話を聞いて、その中で決める」と決めておくと、効率よく進められます。
面談で確認すべきこと
候補となる税理士事務所には、できれば直接会って話を聞くことをおすすめします。電話やメールだけでは、その人の雰囲気や相性はなかなかわかりません。
面談の際には、以下のような点を確認しておくとよいでしょう。
コミュニケーションについて
- 普段の連絡手段は何か(電話、メール、チャットツールなど)
- 質問したとき、どのくらいで返事がもらえるか
- 担当者は誰になるのか(所長なのか、スタッフなのか)
サービス内容について
- 月次での訪問や連絡はあるのか
- 決算・申告以外に、どんなサポートをしてくれるのか
- 節税対策や経営相談には対応しているか
料金について
- 顧問料の金額と、その範囲に含まれるサービス
- 決算料や年末調整など、別途かかる費用 ・料金体系
これらを確認する中で、「この人になら相談しやすそうだ」と感じられる相手が見つかれば、それが最良の選択です。スキルや料金も大切ですが、最終的には「この人と長く付き合っていけそうか」という感覚を大切にしてください。
ステップ2:今の税理士に伝える
新しい税理士が決まったら、次は今の税理士に変更の旨を伝えます。多くの方がここを最もハードルに感じるようですが、実際にはそこまで気負う必要はありません。
伝えるタイミング
理想的なタイミングは、決算が終わった直後です。
決算業務の途中で「変えます」と言ってしまうと、お互いに気まずいですし、引き継ぎも複雑になります。決算が完了し、申告書を提出した後であれば、区切りよく終わることができます。
ただし、どうしても決算前に変更したい事情がある場合は、それでも問題ありません。その場合は、新しい税理士に「決算途中からの引き継ぎは可能か」を事前に確認しておきましょう。
何と言えばいいのか
「長年お世話になった先生に、何と言えばいいのかわからない」——これは本当によく聞く悩みです。
結論から言えば、詳しい理由を説明する義務はありません。
「諸般の事情で、税理士を変更することにしました」 「知人の紹介で、別の事務所にお願いすることになりました」
このくらいの説明で十分です。ご縁である以上、私たちもこうした場面には慣れています。「なぜですか」「何が不満だったのですか」と詰め寄られることは、今の時代ほとんどありません。
人間関係で考えると言いづらいかもしれませんが、これはあくまでビジネス上の契約の話です。必要以上に気を遣わなくても大丈夫です。
契約書の確認
顧問契約書を取り交わしている場合は、解約に関する条項を確認しておきましょう。
多くの場合、「解約する場合は1〜2ヶ月前までに通知する」という条項が入っています。この期間を守らないと、余計な顧問料が発生したり、トラブルになったりする可能性があります。
契約書が見当たらない、または口頭での契約だった場合は、常識的な期間(1ヶ月程度)の猶予を持って伝えれば、通常は問題ありません。
引き留められたら
稀に、「考え直してほしい」「これからは気をつけるので」と引き留められることがあります。
その提案に心が動くのであれば、もちろん続けてもかまいわないと思います。しかし、すでに新しい税理士を決めているのであれば、曖昧な返事はせず、「申し訳ありませんが、もう決めたことなので」と伝える方がお互いのためです。
一度変更を決意したにもかかわらず、引き留められて戻った場合、その後の関係がぎくしゃくすることも少なくありません。
ステップ3:資料を引き継ぐ
今の税理士への連絡が済んだら、最後のステップは資料の引き継ぎです。
「引き継ぎ」と聞くと大変そうですが、実際にはそれほど複雑な作業ではありません。
必要な資料は新しい税理士が教えてくれる
引き継ぎに必要な資料は、新しい税理士が具体的にリストアップしてくれます。「何を用意すればいいかわからない」という心配は不要です。
むしろ、あなたが何かを準備するよりも、新しい税理士が「これとこれをください」と指示してくれるのを待つ方がスムーズに進みます。
一般的に必要となる資料
参考までに、引き継ぎで必要となることが多い資料を挙げておきます。
必ず必要なもの
- 過去の確定申告書、決算書(法人なら法人税申告書、個人なら所得税申告書)
- 総勘定元帳
- 届出書の控え(開業届、青色申告承認申請書、消費税関連届出など)
- 電子申告関連(e-taxやeLTAX)の利用者識別番号とパスワード
あると助かるもの
- 会計ソフトのデータ(弥生、freee、マネーフォワードなど)
- 固定資産台帳 ・契約書類(借入金、リースなど)
- 過去の税務調査資料(ある場合)
これらの資料のうち、手元にないものは今の税理士に依頼して受け取ることになります。
資料を返してもらえない場合
ごく稀に、「資料を返してもらえない」というトラブルが発生することがあります。
法的には、会計帳簿や申告書の控えなどはあなた(会社)のものであり、税理士が保持し続ける権利はありません。もし返却を渋られた場合は、その旨を明確に伝えましょう。
それでも返却されない場合は、税理士会に相談することも選択肢のひとつです。ただし、こうしたケースは本当にまれですので、過度に心配する必要はありません。
データでの受け渡しが主流に
最近は、会計データをクラウドで管理しているケースが増えています。その場合、紙の資料ではなく、データをエクスポートして新しい税理士に渡すことになります。
クラウド会計(freee、マネーフォワード、弥生オンラインなど)を使っている場合は、アカウントの権限を新しい税理士に付け替えるだけで済むこともあります。
このあたりの具体的な手順も、新しい税理士が案内してくれますので、心配は無用です。
よくある不安にお答えします
ここまでで、税理士変更の全体像はつかめたかと思います。ここからは、変更を検討している方からよくいただく質問にお答えしていきます。
Q. 税務署への届出は必要ないの?
税理士が変わったことについて、あなた自身が税務署に届け出る必要はありません。
税理士には「税務代理権限証書」というものがあり、これを申告書に添付することで税務代理人であることを税務署に届け出ます。新しい税理士が申告の際にこれを提出すれば引き継ぎは完了します。
つまり、税務署対応についてはすべて税理士側で対応可能、ということです。
Q. 変更の挨拶状などは出すべき?
特に必要ありません。
ただし、金融機関から「決算書を提出してほしい」と言われている場合などは、担当者が変わったことを一言伝えておくとスムーズです。
Q. 今の税理士との関係が悪くならないか心配
多くの事務所にとって別の税理士に変更することは特別なことではありません。
十分なサービス提供ができず心苦しくはありますが、お付き合いのあった会社とのご縁がなくなることは一定程度起きてしまいます。
社長自身のビジネス上の判断ですから、過度に気にする必要はありませんし、今はそのようなことはあまりありません。
Q. 変更したら、前の税理士のミスが発覚することもある?
可能性としてはあります。
新しい税理士が過去の申告書をチェックする中で、「ここは本来こうすべきだったのでは」という指摘が出ることは、ないとは言えません。
そのような場合には、修正申告などで対応することになります。ただ、これは税理士を変えなければ発覚しなかった問題ですから、むしろ変えたことでリスクが顕在化し、早期に対処できたとも言えます。
Q. どのくらいの期間で変更できる?
スムーズにいけば、1〜2ヶ月程度で完了します。
新しい税理士の選定に2〜3週間、今の税理士への通知と猶予期間に1ヶ月程度、引き継ぎに1〜2週間というのが一般的なスケジュールです。
ただし、決算期前後は避けた方が無難です。余裕を持って、決算終了後に動き始めることをおすすめします。
変更を迷っているあなたへ
ここまで読んでいただいて、いかがでしょうか。「意外と大変じゃなさそうだな」と思っていただけていれば幸いです。
税理士変更は、多くの経営者にとって「人生で何度も経験することではない」イベントです。だからこそ、「よくわからないから怖い」「面倒くさそう」という気持ちになりやすい。
しかし、実際にやってみると、そのハードルの多くは「思い込み」だったことに気づきます。
もちろん、今の税理士との関係が良好で、特に不満がないのであれば、無理に変える必要はありません。しかし、もし心のどこかで「このままでいいのかな」という気持ちがあるのなら、一度、他の税理士の話を聞いてみることをおすすめします。
話を聞いたからといって、すぐに変えなければならないわけではありません。「比較対象を持つ」というだけでも、今の税理士との関係を見直すきっかけになるはずです。
当事務所について
当事務所は、横浜市鶴見区を拠点に、地域の中小企業・個人事業主の皆さまをサポートしています。
「税理士を変えようか迷っている」「他の事務所の話も聞いてみたい」——そんな段階でのご相談も歓迎しています。
初回のご相談は無料です。オンラインでの面談にも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。
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